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ぽむちぱん展(山口みいな)
ぽむちぱん展
山口 みいな
Instagram @miinayamaguchi
Twitter @art3171
”作品を残す“というのはどういう事だろうか。
人と人、人とものがデジタル世界で簡単に繋がることができ、誰しもが機械を持ち、存在している今、作品は簡単に画像データとして第三者が所有できてしまう。しかもその人の切り取り方によって画像の中の作品は姿を変える。
“air series”は残らない、残せないという身軽さと虚しさの混在した状態の作品のシリーズ。
空気の上に重なっているもの達は空気がなくなって行けば崩れてしまうアンバランス感を秘めている。
空気というものもまた存在していて、その空気という誰しもが手に入れられるものを一時的に閉じ込めることによって成り立つ。その空気の量が変化すると作品自身の形も変異する。
ものの状況を留めておくという事は一体どういう事なのだろうか、それは可能なのだろうか
誰もが電子機器を所有する前は作品の現物というもののリアルが最も重厚な存在として扱われてきた。
しかし、デジタルデータで否応なく記録されている世の中で、物理的に存在する事のリアルというものの価値は100年前の世界とは明らかに異なっている。
人が物質を所有したいと思う欲求はデータという形で満たされる事もできる。
物理的に残せない状態で形が存在する作品もこの世界では生き残る事ができてしまう。
デジタルで作品を見ることは決して虚像ではなく、それは実物を見るという事とは別の
新たなリアルとして鑑賞者の前に存在する。
実際に、世界に点在している多くの名作も実物ではなく写真でしか見てないという人が多い。画集で見た作品との対峙もそれはまた一つの経験として存在する。
実物を見る事、画像で見る事、どちらも優劣のない異なるリアルなのである。
今回はデジタルで作る作品とアナログでの作品の境界線を揺さぶるシリーズも展開している。
そんな不安定さと儚さと、データという存在で残り続ける事ができる存在はこの現代社会で生きゆく我々とリンクされる様にも感じる。
しかしそれでもアナログで作品を作りたいという我々の
その手で感じた絵具の確かな感触とスプレーの粒子と匂いは記憶に刻まれ続けている。
”ものの状況を留めておくという事“は”ものを残すと言う事“は
一体どういう事なのだろうか、それを私は問い続ける。